日本金属ハウスウェア工業組合

企業インタビュー組合について

株式会社本間製作所

培ってきた技術と、新たなアイデアの融合。

約70年もの間、洋食器・卓上用品、調理器具、ステンレスバットなど、主にプロ向けの厨房用品を手掛けてきた(株)本間製作所。シンプルで機能的なものづくりを信条とし、「“仔犬(こいぬ)”のように親しみやすく愛着を持ってもらいたい、そしてお客様のもとで商品を育ててほしい、成長させてほしい」との願いから、自社ブランドに「仔犬印」の名を掲げています。
昭和26年、本間一成社長の祖父に当たる創業者が、鉄製品の製造を開始。徐々にステンレス製品の製造へと移行する中で、同社はいち早く中東地域への輸出に着手しました。現地食品業界や、一般家庭の食卓に広く浸透し、好調なセールスを記録した「仔犬印」は、今もなお現地の消費者に親しまれているそうです。
「日本でいうところのハレの日に、当社の中華鍋で作った郷土料理が振る舞われたり、商業設備の規格が、当社の角バットを基準に設計されていたり……。遠い異国の地に、自分たちの製品がそうして息づいているというのは、やはり嬉しいものですね」

東京に進学し、そのまま東京の会社に就職した本間社長。ゆくゆくは地元に戻り、事業承継を見据えていたと言います。「私は東京で起業し、父は燕で会社を守る。そしていずれは、二社でタッグを組み大きくビジネスを……というのが、私たち親子の夢だったんです。ですがその頃は円高、そしてその後の中国製品の台頭など、厳しい環境でしたし、父も体調を崩してしまって……想定より早く地元に戻り、家業を継ぐことになりました。平成11年のことです」
当時、苦境に立たされていた本間製作所にとって、新規販路の開拓は急務でした。本間社長がまずアプローチしたのは、専門用品を扱う各地の大型ホームセンター。それまで業務用の専門問屋への出荷がほとんどで、いわゆる「消費者が見えない販路」だけでしたが、小売店への販路開拓は売上はもちろん、消費者との接点を設け販売、商品開発/改良に関する適切な情報を入手するための試みでした。
「小売店に直接卸すとなると、パッケージも整えなければいけないし、他にも課題は山積み。知識も経験も不足していましたが、ひとつひとつ対処していきました」

仔犬印の製品には、フライパンや鍋などの調理器具に加え、ティーポットをはじめとする卓上用品もラインナップ。高級ホテルやレストランでよく見る製品群は、来客用や見せるインテリアとして、実は一般家庭にもおすすめです。また、軽量かつ熱伝導に優れるアルミ鍋や、フィルターを使わずに本格的なコーヒーが楽しめるパーコレーターなど、アウトドアに最適なグッズも。
「少し前から、プロユースの厨房用品という市場は、縮小傾向で活気が見られなくなっていたんです。インバウンド景気の時もこれは変わりませんでした。そうした現状を踏まえ、B to Cにもかなり力を入れて取り組んでいるんですよ。令和2年には念願の仔犬印公式オンラインストアも開設しました」と本間社長は話します。

近年、同社はクラウドファンディングサービス「Makuake」上で製品開発プロジェクトを実施しました。第一弾となる新製品は、仔犬印のボウルセット。フチを巻かないフラットエッジ構造を採用し、洗いやすく衛生的。ボウルとザルには高低差があり、持ちやすいのはもちろん、水流で食材がボウルの外へ流れ出ないようになっています。
使い手への配慮がふんだんに込められた同製品は、初回企画にも関わらず全国から多くの支持を集め、応援購入総額1,100万円を超える大ヒットを記録。長年、業務用品の製造を通じて磨かれてきた技術と品質が、一般のユーザーにも高く評価されたのです。
「単なる価格競争ではなく、独自性やアイデアの力で勝負できる場というのは、プロの要望に長年応え続けてきた我々にとって、願ってもないものでした。当社にはまだまだ、一般のご家庭にも自信を持っておすすめできる製品やアイデアがたくさんあります。今後も新しい提案を続けていきますので、お楽しみに」

株式会社本間製作所

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E-mail:hommass@ginzado.ne.jp
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